フリーソフト
フリーソフトとは
フリーソフトあるいはフリーウェアは、無料で使えるソフトです。
中には登録が必要で、指定されたところにメールを送り、送り返されてくるライセンスキーという文字列を入れないと実際には使えないというようなものもありますが、基本的には無料で使えます。
無料ですが、インストール時、あるいはダウンロード時にライセンス条項が示されるはずです。それにしたがって使うことが義務付けられています。
フリーソフトを利用することで、無料で自分のコンピュータでできることを増やすことができますが、いくつか注意が必要です。
一般的には、以下のようなことに注意して使いましょう。
- 著作権はプログラムの作者が持っているので、自分のコンピュータでただ使うだけなら問題ないが、許可なくそれで商売をしたり、あるいは少し改造したものを再配布したりするような行為をしてはいけない.
- ただしソフトによっては改造したものを再配布することを許可しているものもある。その場合は別個に改造と再配布に関するルールを示しているはずなので、そのルールに従って改造し再配布を行う。
(例えば教育用のソフトなどは、問題内容や問題数などに限って教師が修正してそれを学生に再配布できるとか。)
- 個人や少人数のグループで開発しているものは、全てのコンピュータで動作確認をしているわけではないので、なぜかうまく動かないこともある。
また作者はプログラミングは得意であってもマニュアルの作成は得意ではないこともある。
そのためうまく動かなくても、あるいは使い方がよくわからなくても基本的には自己責任である。
おかしなところを作者に教えてあげるのはよいが、作者に文句をいう権利はない
- セキュリティ上問題があるソフトである可能性もあるので、それを考慮して使う。
特に昔作られて、その後バージョンアップをしていないものもあるので注意する。
- 無料で使わせてもらうので、作者への敬意を忘れないこと。
フリーソフトは会社が提供するものもあるが、プログラマーが作ったものを個人的に公開しているものもある。
そういうものは、大規模な宣伝はされない。
そのため、
そもそもどのフリーソフトがいいのか、それはどうやって使うのかがよくわからないものも多数存在し、事前の情報収集が重要である。
ときどき雑誌などで 「フリーソフトBEST50」とか、そんな特集もあるので、そういうを利用するのも一つの方法である。
一番いいのは、実際に使っている人に教えてもらうことである。
また信用できるところから入手するように気を付ける。
怪しげなサイトからダウンロードしたフリーソフトにはウイルスが付いているなど、危険なものである可能性がある。
また、ウイルスではないが、関係ない余計なアプリを一緒にくっつけてくるようなサイトもある。
本来フリーソフトではない販売されているソフトウェアを不正な方法で手に入れてインストールすることは犯罪なので絶対にやってはいけない。
有名なフリーソフト
以下に挙げるフリーソフトは比較的有名で、解説本や雑誌の特集などでも情報が得られやすいものである。実際に使わなくても名前ぐらいは知っておくといいだろう。
Acrobat Reader(アクロバットリーダー)
Adobe(アドビ)社が配布しているフリーソフトです。
Acrobat ReaderはPDF形式のファイルを見るためのフリーソフト。
(Adobe Acrobat はPDF形式のファイルを見るだけでなく、書き換えることもできるが、こちらは有料なので注意!)
Windows10の場合は、EdgeでPDF形式のファイルを見ることができるので、特に必要ではない
最新バージョンは、Acrobat Reader DC であるが、ただPDF形式のファイルを見るだけなら、少し前のバージョンでも特に問題はない。
(ちなみにDCはDocument Cloudのことで、クラウドに対応したところが新しくなっている。)
PDF形式
以前、WebページはHTML形式で書かれていると説明しました。
HTML形式のいいところは、見る人の環境である程度画面デザインが変化することです。
Webページは誰がどのような環境で見るかわかりません。
HTMLだと大きな画面で見ても、スマホの小さな画面でも、画面がある程度自動的に調整され最適化されます。
しかし、勝手に画面が変わってしまうのが困る場合もあります。
書類の書き方とか、学術的な内容で「右の図は」と書いてあるので、自動調節で図が右ではなく下に移動してしまうとか、そういうことがあります。
そこで「誰がどのように見ても同じように見える」ということが求められることもあります。
PDF形式は、「誰がどのように見ても同じように見える」という形式です。
娯楽性の強いWebページはPDFで書かれていることは少ないですが、大学の事務や授業資料などはPDF形式で公開されていることも多いので、大学生としてはPDF形式のページも見られるようにしておかないといけません。

Acrobat Reader(無料)のアイコン

Adobe Acrobat(有料)のアイコン
pdf形式で書かれたページの例
Windows10の人はEdgeがあるので、Edgeでこれが見られるはずです。
だから、、Acrobat Readerは不要です。
Microsoft Office のようなOffice系アプリ
文書ドキュメント(ワードプロセッサ)、表計算ドキュメント、プレゼンテーション、データベースなどが一体になったフリーソフトです。
いくつかありますが、有名なものとして
Apache Open Office(アパッチオープンオフィス)
Libre Office(リブレオフィス)
Trio Office(トリオオフィス)
などがあります。
MicrosoftのOfficeは値段が結構するので、無料で使えるのは助かります。
しかし、残念ながらこのようなフリーのOfficeアプリの世間の認知度は低いです。
就活の面接で
「大学ではMicrosoft Officeを使っています」
というのと
「Microsoft Officeは使ったことがありませんが、Open Officeなら使えます」
というのでは、印象が違います。
皆さんは、実質無料でMicrosoft Officeが使えるので、まずはMicrosoft Officeを使ったほうがいいです。
ただ、これらのOfficeソフトもすこしずつ認知度も上がってきているので、名前ぐらいは知っておいた方がいいでしょう。
TeX(テフ あるいは テック)
ドナルド・クヌースによって作られたワードプロセッサの一種で、数式表現に優れています。
決められたルールに従って書かなくてはいけないため、WordやOpenOfficeなどのワードプロセッサのように直観的は使えません。
その代り、正しく書けていれば自動的に目次や索引を作成してくれたり、ページのデザインを後でまとめて変更できたりできます。
1枚、2枚の文章を作るなら、Wordの方が絶対に楽です。
一方、100ページ以上の本の作成などでTeXがよく使われます。
そのため"ワードプロセッサ"ではなく"組版処理ソフト"という言い方をすることもあります。
オリジナルのTeXは、やや使いにくいので、レスリー・ランポートが使いやすく直した
LaTeX (ラテフ あるいは ラテック)というバージョンがよく使われます。
この授業の教科書もLaTeXで書かれています。
使う機会があまりないかもしれませんが、有名なソフトです。
TeXのファイルの作成ときれいな文章の生成は、最近ではTeXworksという統合環境を使うことが多いです。

TeXworksのアイコン
Google Chrome(グーグル クローム)、Firefox(ファイアフォックス)、Safari(サファリ)
InternetExplorer(IE)やEdgeと同じような、Webを見るためのブラウザーソフトです。
Macでは、Safariがよく使われます。
皆さんは、EdgeやIEを持っているはずなので、なくても構いません。
(Macでは、Safariがよく使われます。)
Google Chrome
Firefox
Safari
ただ、あれば便利なこともあります。
ネットワークは、うまく動いているときはいいですが、Webページがうまく見えないというトラブルが発生すると
- 情報の出すサーバのトラブル
- 途中の回線のトラブル
- 自分のパソコンのトラブル
- EdgeやIEのトラブル
など、さまざまな原因が考えられます。
しかし、こういうのは考えてもよくわからないことが多いです。
そういうとき、別のブラウザーアプリがあると、「こっちでもだめかな?」とやってみると、うまく見えたりすることがあります。
そんなわけで、あればあったでいいことがあります。
Thunderbird(サンダーバード)
メールクライアントソフトという、メールの送受信をするアプリです。
迷惑メールの処理やメールの自動振り分けなどに定評があります。
また検索機能も早く目的のメールを見つけてくれるので、以前読んだメールももう一度読みたいときなども便利です。
そのため、一日にものすごい数のメールが来る人はよく使っています。
(私も使っています)
Thunderbirdのアイコン
Thunderbirdの画面
GIMP(ギンプ)
GIMPは写真処理ソフトですが、イラストの作成にも使えます。Photoshopと似たようなフリーソフトです。
GIMPのアイコン
GIMPの画面
Inkscape(インクスケープ)
Inkscapeはドロー型描画ソフトで2Dの画像作成に使用します。
機能はIllustratorに似ているが、インターフェース(画面と使い方)は結構違います。
Inkscapeのアイコン
Inkscapeの画面
Blender(ブレンダー)
blenderは3次元グラフィックソフトです。ただ3D画像を描くだけでなく、アニメーション機能も優れています。
Blenderのアイコン
Blebderの画面
Jw_cad(ジェイダブリュキャド)
Jw_cadは設計図を書くためのソフトです。建築設計の場面でよく使われます。
Jw_cadの画面
Maxima(マキシマ)
数式処理ソフトです。連立方程式の解法、微積分、微分方程式、複素数、行列演算、グラフ描画など高度な数学の問題を解いてくれます。
maximaの画面
Google Earth(グーグルアース)
Googleが配布している地球儀ソフトです。地球上のいろいろなところが見られます。
Google Earthの画面
プラグラム開発用統合開発環境
プログラム開発は、昔はエディタと呼ばれるプログラムをタイプするアプリと、それを実行するアプリが分かれていることが多かったのですが、最近では統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment) というすべてが一体となって、そこでプログラムを開発するのが一般的です。
そこで、例えばC言語の勉強をしたい場合は、”C言語”というものを探してダウンロードしてインストールするのではなく、C言語用の統合開発環境をダウンロードしてインストールすれば、C言語も使えるようになります。
ある開発言語の統合開発環境は一つではありませんが、比較的よく使われて、有名で、参考書も多いものを紹介します。
Microsoft Visual Studio
Visual Studio(ビジュアルスタジオ)では、C言語(C++、C#)、VisualBasicなどのプログラム開発を行うことができます。
C言語やVisualBasicの勉強をする場合は、これをインストールすることが多いです。
有料版もありますが、 Visual Studio Community というのは無料で使えます。
Visual_studio のアイコン
Eclipse
Eclipse(エクリプス)は、Java、PHPなどのプログラム開発を行うことができます。
Eclipse のアイコン
Pythonについて
最近、Python(パイソン)というプログラム言語が注目されています。
Pythonの統合開発環境は、今のところ、IDLE、Spyder、PyCharmなどいくつか存在します。
ほかにもいくつかPython用の統合開発環境があるのですが、今の教科書はこれのどれかを紹介していることが多いようです。
Pythonの場合、少しややこしいのは、Pythonの特徴として、ライブラリの充実があります。
ライブラリとは、簡単に言えば誰かが作ってくれたプログラムです。
こういうものと、自分が作ったものを組み合わせることで、ゼロから全部自分で作る必要はなく、楽して高度なプログラム開発を行うことができます。
ライブラリはネットで公開しているのが一般的で、それを探してダウンロードします。
ただ、必要なライブラリを探してダウンロードするのもなかなか面倒です。
そこで、Pythonの場合、
Python本体
エディタなど、開発ツール
よく使うような便利なライブラリ
がセットになっているものがあります。
こういうものをディストリビューションといいます。
Pythonの本家(https://www.python.org/)からダウンロードするバージョンでは、ライブラリがあまり充実してないようです。
例えば、Anaconda(アナコンダ)というディストリビューションは、データ分析系のライブラリが充実しているので、Pythonでデータ分析をする場合、現在では、Anacondaディストリビューションを使う人が多いようです。
(ちなみに、私もAnacondaディストリビューションで、統合開発環境はSpyderを使っています。)
(Anacondaディストリビューションのページ)
現状はこのようになっていて、さらにいろいろ新しいものも開発されています。
そのため、「C言語を勉強したいならVisual Stadio」「JAVAを勉強したいならEclipse」見たいな感じに、Pythonはなってないのが現状です。
Anacondaディストリビューションを基に解説している教書も多いので、現在のところ、Anacondaディストリビューションをインストールすれば間違いないのでしょうが、将来はまた変わってくるかもしれません。
そんなわけで、Pythonもを勉強する環境も無料で自分のパソコンに持ってこられるのですが、どれを使えばいいのか、いろいろ情報を集めないといけないのが現状です。
Pythonについては、このあとクラウド版のフリーソフトのところであらためて説明します。
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