春学期:火曜5−7時限(135分)
LC必修
担当:AI数理データサイエンスセンター 鈴木 肇
(cu10902@fsc.chubu.ac.jp)
講義室:5522講義室
TA:栗木斗大さん、川畑駿太郎さん

この授業について

実習中心の授業なので自分のノートパソコンを持参してください
講義はAI数理データサイエンスセンターの鈴木 肇が担当します。
一回の授業は135分で、全15回を予定しています。

この授業の目的

この授業では、パソコンを利用して、臨床工学技士に必要な情報処理を学びます。
 臨床工学技士には、情報機器化した医療機器や医療情報システムの操作と運用に関連して、機器やシステムを実現している情報処理と通信の原理や技術の基本について理解しておくことが求められています。
 情報処理工学は臨床工学技士国家試験でも重要科目として毎年多数の問題が出題されており、情報処理工学T、Uで学んだ知識が本実習を通じて更に深い理解に高まることを目標としています。

また、しっかりしたレポートの書きかたを学びます。
講義のレポートと現場での報告書は、違う部分もありますが、共通するところも多いです。
医療現場はチームプレーなので、お互い教えたり教わったりすることが多々あります。
仕事の引継ぎ、新人への装置の操作の説明書等々、現場でもいろいろな報告書や説明書を書くことがあります。
臨床工学技師としては、そういうものをしっかり書けるようにしておくことも重要です。

この授業で学ぶこと

生体信号

生きている人間は様々な信号を外部に出します。そのような信号を生体信号、あるいはバイタルサインといいます。主な生体信号としては
生体現象 関連する信号
心臓の活動 心電図、血圧、心拍数、血流、心音
呼吸 呼吸数、換気量、呼気炭酸ガス量、血中酸素濃度、血中炭酸ガス濃度
脳の活動 脳波、脳血流
体温 体温
筋肉 筋電図

などがあります。このような生体信号を見ることで人の体内で起きている様々な現象を知ることができ、体の不調の原因の特定や、病気の予防に役立てることができます。
しかしこのような生体信号は多くの場合非常に微弱であり、機械を使って増幅するなどしないとうまくみることはできません。また多くの場合、機械で測定した結果をそのまま使うことはなく、さらにコンピュータなどで処理する必要があります。このような処理を信号解析あるいは信号処理といいます。
例えば、脳波はデルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波などの複数の波があることが知られてしますが、普通に測定しただけだと、これらがすべて混ざった状態で測定されてしまいます。そこで、信号解析によって、アルファ波だけを取り出すとか、シータ波だけを取り出すといった処理が必要になります。
実際の心電図や脳波計などは、信号の取得、信号の記録、信号の解析が一連の作業として行われるように設計されていることが多いので、信号の取得、記録、解析がどのように行われているのかわからなくてもある程度測定ができてしまうことが多いです。しかしうまく測定が出来ない場合や、何か新しい原理で動く医療機器が発明されたときなどでは、信号の取得、記録、解析がどのように行われているのかを理解していないと対応できません。そこで、信号の取得、記録、解析についてよく理解しておく必要があります。

周期的な信号

上に挙げた生体信号の多くは一定のリズムで繰り返しているものです。 周期的に変化する信号は「波」と表現されることが多いですが、信号解析の中でもこのような波の信号の解析は特に重要です。
波の信号で最も単純なものが正弦波}です。生体信号に限らず、正弦波は自然界で多くみられる波です。電気や電波の通信信号においても正弦波が基本になっていることが多いです。そこで、波の信号解析を考えるとき、まず正弦波の性質を理解することが重要です。


参考:オシロスコープ

信号の取得と記録

すでに述べたように生体信号は非常に微弱なのでほとんどの場合は機械に頼ることになります。多くの場合、信号を増幅器(アンプ)を通して、コンピュータに取り込み、それをコンピュータで解析するというような流れになります。連続的な電気信号をコンピュータに取り込める形に変化する装置がAD変換器です。ADはアナログ・デジタルの頭文字で、連続的なアナログ信号を離散的なデジタル信号に変換するのがAD変換器です。


信号の性質や、信号解析の目的に合わせてこれらの計測機器の設定を正しく行う必要があります。また、信号解析に必要ない信号(ノイズ)は、この段階で極力取らないように工夫する必要もあります。生体信号を解析するには、まずは正しく生体信号を取得しなければいけません。

信号の解析

多くの場合、取得した信号はそのままでは使えません。自分が注目していない信号が混ざっていたり、取得段階できれいに取れなかったノイズなどが含まれているのが普通です。そこで、取り込んだ信号をコンピュータで処理して、自分が必要とする信号だけをうまく取り出す必要があります。これが信号解析です。


信号解析をして、きれいになった信号を見て、初めて生体の状態がわかるようになります。 この講義では、このような一連の作業を学び、信号処理についての理解を学んでいきます。

Excelの高度な使い方

具体的な信号解析は、Excelを使いながら学びます。
ここでは、分析ツールのフーリエ解析や複素数の計算など、やや高度なExcelの使い方も同時に学んでいきます。

しっかりしたレポートの書き方

グラフや図を入れた、わかりやすいレポートの書き方を学びます。
レポートには、いくつかルールがあります。そういうことを意識しながら書くと、いいレポートが書けるようになります。
わかりやすいレポートが書けるようになると、授業でノートを取るのもうまくなります。
授業で取るノートというのは、自分から自分に送る報告書のようなものですから、後から見直してよくわかるノートというのは、よいレポートに通じるものがあります。

授業予定

第1週(4/11):この授業について
この授業に関する説明(教科書第1章)
説明に使ったパワーポイント(PDF形式)

第2週(4/18):WordとExcelの基本的な使い方
[講義と実習]
Wordの作画機能

ExcelのCSV形式

第3週(4/25):Excelの高度な操作(主にレポートで使う技)
[講義と実習]
数式から表、グラフを作る
Excelの参照(絶対参照、相対参照)
高度な関数の利用と統計分析
最小二乗法
相関係数
分析ツール


課題1:締め切り5/9

第4週(5/2):レポート作成法とプレゼンテーション
レポート作成について

よいレポートを書くために(PDF)
Wordのヘッダーなど
Wordのスタイル
Wordのアウトラインモード
プレゼンテーション
PowerPointのアニメーション

第5週(5/9):三角関数と正弦波 
[講義]
三角関数とは(教科書第2章)
正弦波とは(教科書第3章)

[実習]
Excelで三角関数と正弦波に関する計算を行う

[授業で使ったパワーポイント]
(これはExcel2010を使っていますが、Excel2013でも基本的には同じです。Excel2010の方が文字が見やすいのでExcel2010をつかます)
act1.pptx
act2.pptx


課題2:締切 5/23

第6週(5/16):デジタルデータの取り込み
[実習]
AD変換器の基本的な操作とデータ取り込み(教科書第4章)
ファンクションジェネレータの操作(教科書第4章)


[授業で使ったパワーポイント]
act3a.pptx
act3b.pptx
act3c.pptx


[インストールするソフトと作業手順]
以下をクリックして、中部電気株式会社のページに行き

中部電気株式会社のソフトウェア提供ページ(新しいタブで開きます。)

USB18FIOシリーズファームウェア 2.06.01版(19,7MB)
をクリックしてUSB18FIO_V20601.zipをダウンロードして、展開する。
(対応OSにWindows11がありませんが、大丈夫です。)
Setup64.msiでドライバーをインストールしますが インストール後に、ドライバーの認識作業が必要です。

その後、C:CHUBU ELECTRIC→USB18FIO→DtLog に行き、DtLogsetup.msiをクリックして、データロガーをインストールする。

「WindowsによってPCが保護されました」という表示が出たら、「詳細情報」をクリックして「実行」を押します。

教科書の執筆時より、若干の変更があるので、以下を参照してください。
インストールの細かい手順

第7週(5/23):実験装置の詳細(教科書第5、6章) 
[講義]
ビットとは(教科書第5章)
二進数、八進数、十六進数(教科書第5章)
装置の性能(教科書第6章)

[実習]
二進数などに関する処理をExcelで行う

[授業で使ったパワーポイント]
act4.pptx
act5.pptx


P.66の実習について

第8週(5/30):信号測定と三角関数の合成
[講義]
信号測定を行うときの注意(教科書第7章)
三角関数の合成(教科書第8章)

[実習]
信号測定

[授業で使ったパワーポイント]
act6.pptx
act7.pptx

課題3(問題はメールで送ります):締切 6/13
このページの下にヒントがあります

第9週(6/6):Excelによる積分
[講義]
Excelによる積分(教科書第9章)
三角関数の積分(教科書第10章)

[実習]
Excelで積分計算を行う

[授業で使ったパワーポイント]
act8.pptx
act9.pptx
act10.pptx


第10週(6/13):フーリエ級数と複素数
[講義]
フーリエ級数とは(教科書第11章)
複素数とは(教科書第12章)
複素数を用いたフーリエ解析(教科書第12章)

[実習]
Excelでのフーリエ係数の計算
Excelでの複素数の計算

[授業で使ったパワーポイント]
act10.pptx
act11.pptx
act12.pptx


第11週(6/20):FFT
[講義と実習]
FFTとは(教科書第13章)
FFTによる信号解析(教科書第14章)
[実習]
ExcelのFFT
FFTでフーリエ係数の性質を見てみる

[授業で使ったパワーポイント]
act12.pptx



第12週(6/27):フーリエ係数の性質とノイズ 
[講義]
フーリエ係数の性質(教科書第15章)
ノイズ(教科書第16章)
ノイズの除去法(教科書第16章)

[実習]
Excelでノイズ除去処理を行う

[授業で使ったパワーポイント]
act13.pptx
act14.pptx


第13週(7/4):時間的に変化する信号と相関
[講義]
フィルタ関数(教科書第16章)
時間的に変化する信号(教科書第17章)
相互相関、自己相関(教科書第18章)

[実習]
時間的に変化する信号の処理
相関の計算

[授業で使ったパワーポイント]
act14.pptx
act15.pptx
act16.pptx


[マクロの入ったExcel]
自己相関係数(jikosoukan.xlsm)
相互相関係数(sougosukan.xlsm)
もしダウンロードするときに拡張子が.zipになってしまう場合は、手で.xlsmに打ち直してください。
それでもうまくいかない場合は、下を使ってください。

[マクロの入ったExcel(Excel2003用)]
自己相関係数
相互相関係数




第14週(7/11):プログラミング
[講義]
レポートについて:こちらのページを参照

プログラミングについて: こちらのページを参照
[実習]
Excelで簡単なプログラムを作ってみる



第15週(7/26):データベース)
リレーショナルデーターベースについて: こちらのページを参照

HTMLとXML型データベースについて: こちらのページを参照
授業のまとめ
補足情報など


成績評価

課題と出席で判定する。
課題の提出を求める.それにより講義や実習の内容について,どれだけ理解したかを評価する.合計60点以上を合格とする
(いわゆる期末試験のような試験は行わない

課題

課題1:締切 5/9


課題2:締切 5/23

課題3
(問題はメールで送ります):締切 6/13
ヒント
問題1:CHAR関数
問題2:けたが大きすぎて、BIN2HEX関数は使えない。そういうときは4つずつ区切って、、、、。
問題3:1V=1000mV=1000000μV。1V=103mV=106μV

備考

ノートPCを持参すること。

教科書

情報処理工学実習
鈴木 肇 著

リンク(この講義に関連するサイト)

すべて新しいタブで開きます。