2. 電子メールの書き方とマナー

第 1 版作成者

稲垣圭一郎

第 2 版作成者

長坂保典

2.1. 電子メールの特徴

他者に連絡する手段としては、郵政省メール、電話、電報、電子メール、 スマートフォンや携帯電話のメッセージサービス、SNS, blog, Web など、様々な ものがあるが、公式な場面、ビジネスの場面で組織内外の特定の人に連絡する場合には 電子メールが広く使われている。

大学や大学の先生との連絡、入社試験時の連絡などは、近年「電話」ではなく、「電子メール」 を利用することが多い。なぜ、メールが使われるようになってきたのか?

メールには電話と異なる次の良い点がある。

  1. 相手の都合を気にする必要がない。送信者は好きなときに送れ、受信者は 都合の良いときに読むことができる。

  2. 記録、データが残る。

  3. 送信する前に読み返して、内容を確認、修正できる。

  4. 多くの人に連絡する場合にまとめて一度で送信できる。

  5. 文書やデータを添付して一緒に送ることができる。

一方、次のような悪い点もある。

  1. 場合によっては開かれない、読まれないことがある。

  2. 返事が遅くなることがある。

  3. 書き方によって誤解を招くことがある。

  4. 正しく管理しないと、ウイルスやデータ漏洩などのセキュリティ上の問題が生じる。

記録が残る、送る前に内容を確認できるという点は仕事で使う上で都合がよく、 特に目上の人に送るときなど、内容に注意する必要がある場合に問題が生じにくい。

2.2. メール作成の実習 (1)

Tora-net メール (Office 365) の環境を開いて以下の課題に取り組もう。

事前の知識がない状態、今の自分がわかる範囲で、まず教員宛の問い合わせの メールを作成して送ってみる。 この下に続く解説を見るとヒントが書いてあるので、今は下を見ずに自分で考えて作成する。

内容は、 「講義で取り上げた内容の不明点を質問するために、担当教員の部屋を訪問するアポイント を取る」とする。以下を含めること。

  • 前回の講義で分からないことがある。(事情)

  • 次回の講義までに不明点についての質問をして、回答を聞きたい。(目的)

  • そのために先生の予定を聞きたい、空いていれば研究室を 訪問したい。(希望)

  • メールの件名(Subject 欄)には以下のように書く

スタートアップセミナー 実習1 学籍番号 氏名
) スタートアップセミナー 実習1 ER20099 中部太郎

syn2089 @ gs4e.chubu.ac.jp 宛てに (注意 : @が全角文字になっているので 半角文字に直す、以降同様) 送付する。

※ 上記のアドレスはクリックするとメールのプログラムが起動するが、事前に設定を しておかないと送信することができないので、別に Tora-net のメール (Office 365) を起動しておいて、そこから送信するのがわかりやすい。

2.3. 電子メールの基本的な書き方

ここではメールを書くときに含める標準的な要素や書き方を見てみよう。 この後に出てくる各要素間は一行空けると見やすい。

  1. 初めに相手の名前を書く

相手の名前が既知の場合
○○様、○○先など

相手の名前が不明の場合
○○御中 (会社の場合に多い)
○○担当者様 (会社の場合、特に課や部署が決まっているときは、
担当者がいるため、この組み合わせが多い)
  1. 自分の氏名を書く

  • 自分が誰かを明らかにする。(初見の場合は必須)

  • 所属(学年、学籍番号など)、氏名を書く。

ロボット理工学科1年 ER20099 ○○です。
ロボット理工学科1年 ER20099 ○○と申します。 (初見の場合)
など

LINE などの SNS のメッセージでは毎回最初に名乗ることはしないが、 メールでは必ず最初に自分が誰かを書くのがマナーである。

SNS に慣れた 学生から届くメールで時々あるのが、大学で発行されるメールアカウント以外の プライベートなアカウントから送られたメールで、「授業の内容で質問があるんですが、 いつ行ったらいいですか?」のように用件だけ書いてあるものである。 送り主が誰かわからず、どの授業かもわからないので、返信は「どちら様ですか?」 または「あんた誰?」となる。友人や身内に送るメールでなければ、最初に名乗る 習慣をつけよう。

またビジネスメールでは、 「はじめまして」、「お世話になっております」、「いつもお世話になります」 などの定形の挨拶文を書くことが多い。

  1. 本文、メールで伝えたいことを書く。例として、

前回のスタートアップセミナーの講義で、メールの書き方について
一部理解できなかった部分があります。
可能であれば先生の都合の良い日時に研究室に伺って疑問点について
教えて頂ければと存じます。
つきましては、次週木曜日までの先生のご予定を教えて頂けます
でしょうか。
  1. 締めの言葉を書く。例として、

よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
どうぞよろしくお願い致します。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
  1. 最後に、氏名と署名を付ける。例として

---
中部大学工学部ロボット理工学科
ER20099 中部太郎

ここまでの要素を組み合わせた次に示すメールの例が、標準的な 構成要素を含んだ文例となる。

○○先生

ロボット理工学科1年 ER20099 中部太郎と申します。

前回のスタートアップセミナーの講義で、メールの書き方について
一部理解できなかった部分があります。
可能であれば先生の都合の良い日時に研究室に伺って疑問点について
教えて頂ければと存じます。
つきましては、次週木曜日までの先生のご予定を教えて頂けます
でしょうか。

どうぞよろしくお願い致します。

---
中部大学工学部ロボット理工学科
ER20099 中部太郎

2.4. メール作成時に注意すべき点

年上や上司、教員など目上の人に対して(できれば目上とか関係なく) 、敬語(丁寧な書き方)で文面を書く。 ※ ただし、顧客などに対しては 謙譲語表現 となる。

以下ではよくある日本語や敬語の間違いを挙げてみる。このような書き方はしないように気を付ける。

2.4.1. バイト敬語

一見丁寧な表現に見えるが、日本語として不適切。アルバイト経験者が使うことがある。 例として、

・木曜日でよろしかったでしょうか。
・授業のほう休ませて頂きます。
正しくは
・木曜日でよろしいでしょうか。
・授業を休ませて頂きます。
とする。

2.4.2. 若者言葉の利用

口語ではそれ程気にならないが、文として書くのは不適切。 ビジネスの場面、目上の人へのメールではふさわしくない(特に意味もない ~的 という表現)。 例として、

・自分的には
・参考書的なものは
正しくは
・私としては(or 私としましては)
・参考書は
とする。

似たところでは、「~みたいな。」という、曖昧な表現はビジネスの場面では使わない。

2.4.3. 敬語の間違い

目上の人から、「○○君 、明日までにレポートを提出してくれますか。」 というメールに対する返答は、

「畏まりました」
「承知しました」
「承知いたしました」

などとする。

この場合、「了解しました」は間違いである。では何故、「了解」はだめなのか? 了解は、先方の言い分を認めるという意味であり、目上の人に使うのは適切ではない。

謙譲語の使い方

別の例として、 顧客から、「○○部長は 明日ご在席でしょうか。」という問い合わせのメールに対する返答では、

「○○は、明日、在席しております」 と答える。
「○○部長は、明日、在席しております」 は間違い。

顧客との対応では、先方を丁寧語表現、身内(社内)に関することは謙譲語表現とする。 これは電話・メールともに同じ。

2.4.4. 携帯のメールアドレスやキラキラなアドレス:

フォーマルな場面、ビジネスでメールを送る際は、携帯のアドレスや キラキラしたメールアドレスを利用しない。 会社で発行されたアドレス、大学のアドレスを使うのが望ましい。

2.4.5. 丁寧な言葉使い

  • 「致」をつける。「よろしくお願いします」 → 「よろしくお願い致します」とする。

  • 枕詞をつける。「書類を作成頂けますでしょうか」 → 「恐れ入りますが、書類を作成頂けますでしょうか」

  • 二重敬語をなくす。「A先生のおっしゃられるとおり、xxxでした」 → 「A先生のおっしゃるとおり、xxxでした」

敬語を適切に使いこなすのは難しいので、はじめは、できるだけ自分で丁寧と思う文章で書くように 心がける。

2.5. メール作成の実習 (2)

これまでの内容を参考にして、実習 (1) で書いたメールで修正するとよい部分があれば修正する。 メールに書く内容は、実習 (1) と同じ。

教授の講義内容の不明部分を聞くために訪問するアポイントの取り方。 以下を含めること。

  • 前回の講義で分からないことがある。(事情)

  • 次回の講義までに不明点についての説明を聞きたい。(目的)

  • そのために先生の予定を聞きたい、空いていれば研究室を 訪問したい。(希望)

  • メールの題名は以下のように書く

スタートアップセミナー 実習(2) 学籍番号 氏名
) スタートアップセミナー 実習(2) ER20099 中部太郎

syn2089 @ gs4e.chubu.ac.jp 宛てに送付する。

2.6. メール作成の実習 (3)

メールの件名を考える練習をしよう。この後の解説を読む前に、自分の感覚で 件名を考えてみよう。

メールに書く内容は、前に取り組んだメール作成の実習 (1), (2) と同じ (講義内容の不明部分を聞くために訪問するアポイントを取る) とする。

  • 作成したメールに対して適切な件名を考えてみる、すなわち確実に読んでもらえる、 早めに返事をもらえることを目指す。どのような件名を付けると効果的だろうか?

  • メールの件名は字数、内容ともに自由に決めてよい。

syn2089 @ gs4e.chubu.ac.jp 宛てに送付する。

2.7. 件名の付け方

2.7.1. すぐ開いてもらえる件名をつけるには

送ったメールを読んでもらえない、読むのを後回しにされるのを回避するには どうしたらよいか???

仕事でメールを使っている場合、1日に数多くのメールをやりとりする。メールクライアント プログラムによっては、ダイレクトメールなど、突然届く 関係ないメールは機械的なフィルタ処理で自動的に不要メールに仕分けされる。そのような不要 メールは予め除いて、意味のある メールだけに限定しても数十から百通を超えるのは珍しくない。

意味があると思われるメールでも届いた順にすべて開いていくわけではなく、何らかの基準を 設けてすぐに処理するメール、後で開くメール、スルーするメールを決める。そのときに確認するのが 1行で書いてある件名である。したがって適切な件名を付けるのは、確実に開いてもらう、早く開いて もらうためには非常に重要である。

では件名はどのように付けたらよいだろうか? 以下のようなコツがある。

  • 内容に具体性を持たせる。

  • 簡潔(あまり長すぎない)で、メールの内容を具体的に表す件名にする。

  • 日時を付け足すなども効果的である。

  • 件名には「何の」、「何時の」、「目的(の概要)」を含める。

例として、実習 (1), (2) の用件であれば、以下のような件名が考えられる。

・こんにちは
・ご連絡
・質問
・研究室訪問について
・日程調整について
・研究室訪問に関する日程調整について
・研究室訪問について 4/24(木)
・研究室訪問について 4/24(木) ER20099 中部
・講義内容の質問
・講義内容の質問、研究室訪問の日程調整のお願い
・講義内容の質問、研究室訪問の日程調整のお願い、ER20099 中部

別の例として、会議開催のお知らせであれば、以下のような件名が考えられる。

・連絡
・学科会議を開催します
・学科会議を開催します、4月29日
・学科会議を開催します、4月29日17:00
・学科会議を開催します、4月29日17:00、5354室
・学科会議開催の連絡、4月29日17:00、5354室、PC持参

自分がメールの用件に対応する必要がある場合、どの件名がよいと感じるだろうか? 件名に内容が過不足なく書いてあると、本文を読まなくても用件が大体わかるので、 メールをたくさん受け取る人はとても助かると言える。 ただしあまり文字数が多くなると後半が表示されなくなるので、大体30文字程度で 内容が伝わる件名にするとよい。

  • メールの重要性が見た目でわかるように目立つキーワードを付加する。 例えば、【重要】、【至急】などを件名の頭につける。

【至急】学科会議の連絡、明日4月29日9:00、5354室

キーワードを足してメールの重要性をアピールすることはよく行われる。 ただし、度が過ぎると信用を失くす。大して重要でない用件に、いつも 【重要】、【至急】などと付けていたら、いずれスルー、無視されるようになるだろう。

2.7.2. 返信メールの件名

届いたメールに返信する場合は、件名について以下の緩やかなマナーがある。人によっては 気にしないこともある。

  • 同じ話題のメールのやり取りを続ける場合は、メールクライアントの返信機能を利用する。 件名を別のものに書き換えない。

  • Re: (返信)を多く付けない。返信を表す(Re)は、1回~2回までにして、それ以降は件名を修正する。

メールクライアントプログラムの返信機能を利用すると、件名の先頭に返信を表すワード Re: が 自動的に付加される。例えば「会議のお知らせ」という件名のメールに返信すると、

Re: 会議のお知らせ

となる。それに返信すると、

Re: Re: 会議のお知らせ

となる。この機能を利用すると、返信メールを受け取った人はどの話題に対する返信かという のが件名だけでわかる。しかしこの返信機能を利用しないで、例えば、

会議のお知らせに対する回答

と、件名を独自に書き換えてしまうと受け取った人はどのメールに対する返信かがすぐには わからなくなる。また Re: が付いているメールはメールクライアントが自動的に連続した 一連のメール(スレッド)と認識して、表示を見やすく並べ替えてくれたりするので、 そのような機能を活用するためにも件名を変更しないほうがよい場合が多い。

返信の回数が多くなると、次のような件名になることがある。

Re: Re: Re: Re: Re: Re: Re: Re: Re: Re: 会議のお知らせ

あまり Re: の個数が多くなると肝心の件名が画面からはみ出してしまって見えなくなることがある。 Re: が多くなると逆にわかりづらくなるので、3個を超えるようなら編集して個数を減らすのがよい。

2.8. わかりやすい本文を書くには

件名がキチンと書かれていても、本文が読みにくいと読んでもらえない可能性がある。 ここではわかりやすい本文をどう書くかを見てみよう。 ここで取り上げる内容は、メールの本文の書き方であるのと同時に、 わかりやすい日本語の文章を書くことにも繋がるので、様々な場面で活用できるだろう。

2.8.1. 長過ぎる文を書かない

長い文章を書いてしまうと読みにくく、理解し難い。日本語の性質として、 本来は複数の文で表す内容でも、それらを繋げて、1個の長い文章を容易に作れてしまう。 よって文の長さはいつも意識する必要がある。例えば、

本日の授業で、積分方法についてわからないことがあり、お忙しいところ恐縮ですが、
次回の講義までにご教授頂きたいのですが、つきましては次回の講義までの先生の
ご予定を教えて頂けないでしょうか。

この文章は次のように分割する方がよい。

本日の授業で、積分方法についてわからないことがあります。
お忙しいところ恐縮ですが、次回の講義までにご教授頂きたいと存じます。
つきましては次回の講義までの先生のご予定を教えて頂けないでしょうか。

不必要に長い文章としないためには、意味を持つ単位毎に意識して、それぞれで 文を閉じるようにする。

2.8.2. 適切な読点「、」の打ち方

句読点、特に、読点「、」を適切に打たないと読みにくい文章になってしまう。 読点「、」を打つのは以下の場所である。

  • 主語のあと

  • 意味に応じて、文を分けるところ

  • 並列に示す語句を分けるとき (例:林檎、蜜柑、桃など)

  • 接続詞の前後

  • 修飾語を強調するとき、意味を明確にするとき

同じ文章でも、読点の位置によって次の例のように意味が変わるので、 明確に内容を表現したい場合には付ける。

3万円の神戸牛のステーキ
3万円の、神戸牛のステーキ (ステーキが3万円)
3万円の神戸牛の、ステーキ (神戸牛が3万円)

感覚としては、文章を読むときに息継ぎする部分に読点を打つとよい。 (どの辺りで息継ぎすると、相手が聞いてくれるか?)

読点が少なくて読み難い文はよくあるが、逆に多すぎて読み難いと感じる文は ほとんど見かけないので、意識して少し多めに読点を打つとよいと思われる。

2.8.3. 5W1H を明確に示す

友人と交わす目的のない雑談のようなメールでは問題ないが、 仕事の場面などでメールを使う場合、 自分と相手にとって重要、かつ必要な情報を確実に伝える必要がある。 そのような情報には多くの場合、

5W (いつ、どこで、誰が、なにを、なぜ) 1H (どのように)

が含まれるので、それらの情報がメールに正しく書かれているかを意識する。

2.9. メール作成時のその他のコツ、マナー

ここまでの内容では以下に示す基本的なルールやマナーを取り上げた。

  • 実習 (1), (2) の課題で示したように、メールの構成要素を書く順番は凡そ決まっている。

  • 原則として敬語を使って丁寧に書く。

  • 話し言葉や日本語として正しくない表現を避ける。

  • わかりやすい文章にすることを意識する。

上記以外にも、様々な暗黙のルール、コツ、マナーがあるので、以下では それらを見てみよう。

2.9.1. 改行することで視覚的に読み易くする

メールでは改行しないで連続して数十文字に渡る長い文章を書かない。 長い文章を書くと内容とは関係なく画面の右側にはみ出してしまったり、 右端で自動的に折り返されて体裁がむちゃくちゃになることがある。

1行に表示可能な文字数は使うディスプレイや Window の大きさに依存するが、 標準的には40文字程度であろう。よって30〜40文字で改行するようにする。 次の例を比較してみよう。

LINE などの SNS のメッセージでは毎回最初に名乗ることはしないが、メールでは必ず最初に自分が誰かを書くのがマナーである。
SNS に慣れた学生から届くメールで時々あるのが、大学で発行されるメールアカウント以外のプライベートなアカウントから送るメールで、「授業の内容で質問があるんですが、いつ行ったらいいですか?」のように用件だけ書いてあるものである。
送り主が誰かわからず、どの授業かもわからないので、返信は「どちら様ですか?」 または「あんた誰?」となる。友人や身内に送るメールでなければ、最初に名乗る習慣をつけよう。
またビジネスメールでは、「はじめまして」、「お世話になっております」、「いつもお世話になります」などの定形の挨拶文を書くことが多い。
LINE などの SNS のメッセージでは毎回最初に名乗ることはしないが、
メールでは必ず最初に自分が誰かを書くのがマナーである。
SNS に慣れた学生から届くメールで時々あるのが、大学で発行されるメール
アカウント以外のプライベートなアカウントから送るメールで、
「授業の内容で質問があるんですが、いつ行ったらいいですか?」のように
用件だけ書いてあるものである。送り主が誰かわからず、どの授業かもわからない
ので、返信は「どちら様ですか?」 または「あんた誰?」となる。
友人や身内に送るメールでなければ、最初に名乗る習慣をつけよう。
またビジネスメールでは、「はじめまして」、「お世話になっております」、
「いつもお世話になります」などの定形の挨拶文を書くことが多い。

改行を適宜挿入するのは必要であるが、次のような単語の途中の改行はよくない。

ただし、単語をぶった切るようなこういう改
行はだめ、読みにくい

代わりに、こういう
改行なら問題ない

文章が延々続くと読みにくいので、ひとまとまりの意味の区切り、段落毎に 空行を入れておくと読みやすい。前の例に空行を入れた次の例を見てみよう。

LINE などの SNS のメッセージでは毎回最初に名乗ることはしないが、
メールでは必ず最初に自分が誰かを書くのがマナーである。

 SNS に慣れた学生から届くメールで時々あるのが、大学で発行されるメール
アカウント以外のプライベートなアカウントから送るメールで、
「授業の内容で質問があるんですが、いつ行ったらいいですか?」のように
用件だけ書いてあるものである。送り主が誰かわからず、どの授業かもわからない
ので、返信は「どちら様ですか?」 または「あんた誰?」となる。
 友人や身内に送るメールでなければ、最初に名乗る習慣をつけよう。

またビジネスメールでは、「はじめまして」、「お世話になっております」、
「いつもお世話になります」などの定形の挨拶文を書くことが多い。

2.9.2. 文章を読みやすくする視覚的な工夫

前に示した例で、内容の区切り毎に空行を入れることを挙げたが、他にも 視覚的に見やすくする手段として以下がある。 文字だけが詰まってずっと並んでいる文章はメリハリがなくて読み難いので、 視覚的なアクセントを付加する。

  • 記号(・など)を使って項目を分けて、箇条書きにする。

  • 罫線やカッコなどを使って重要項目を目立たせる。

同じ内容を平板な文章にすると次のようになるがどうだろうか。

前に示した例で、内容の区切り毎に空行を入れることを挙げたが、
他にも視覚的に見やすくする手段として以下がある。
文字だけが詰まってずっと並んでいる文章はメリハリがなくて読み難いので、
視覚的なアクセントを付加する。(1) 記号(・など)を使って項目を分けて、
箇条書きにする。(2) 罫線やカッコなどを使って重要項目を目立たせる。
同じ内容を平板な文章にすると次のようになるがどうだろうか。

2.9.3. 1通のメールに複数の内容を詰め込んではいけない

一つの文に複数の内容を含めて長い文にしないのと同様に、 1通のメールで、2つ、3つと内容を繋げて書かないようにする。 複数の内容が含まれていると、

  • 件名で折角興味を引いていても、長すぎて読むのが大変だと 途中で読むのを止めてしまうことがある

  • 内容が変わるうちに本題がわからなくなってしまう、伝えたいことが伝わらなくなる。

よって、件名と本文の対応がつくように、1つの用件に対してメールを完結させる。

※ ただし、本文の主要な用件に対して、(関係ない内容であっても) メール末尾に短いメッセージを PS (追伸:post script) として付け加えるのは問題ない。

2.9.4. 重要な事柄を先に書く

前述の、1通のメールに一つの内容に従えば、メールに含める内容はそれ程 多くはならないはずである。それでも場合によっては、一つの内容で様々な 事柄を伝えることがある。そのような時には、重要な事柄を先に書くのが 有効である。

2.9.5. 曖昧な表現をなくす

「なるべく早く」、「完成次第」など期限を書かないと、 一見相手に配慮しているように思えるが、 対応すべき期限が伝わらないのでトラブルの元になる。 次の3種類の指示があったとき、それぞれ どの程度の学生が、いつまでに、提出するだろうか?

課題のレポートは、なるべく早く提出すること
課題のレポートは、完成次第提出すること

課題のレポートは、12 月 24 日 24 時までに提出すること

期日が決まっている場合は、12 月 24 日など具体的な期日を明示する。

同じように、「できるだけ」、「可能であれば」などは使わない。 状況にもよるが、送信者は相手にして欲しいことがあるのでメールを 送付していることに注意する。次の3種類の指示があったとき、それぞれ どの程度の学生が受験するだろうか?

期末試験はできるだけ受験すること
期末試験は可能であれば受験すること

期末試験は必ず受験すること

誤解を避けるために、「あの」、「その」、「この」などの指示語は使わない。 代わりに、指し示している内容を具体的に書いたほうが伝わりやすい。

2.10. メールの送信先の指定(To, Cc, Bccの使い分け)

メールで送る相手を指定する指示は次の3種類がある。目的に応じて適切に 使い分ける。 メールを送る際に、主な相手だけに送るか、関係者にも知らせるか、 秘密の関係者にも知らせるか、ということになる。

To: (主な宛先)

メールを送る対象の相手。メール内でxx様、oo様と複数の 相手に送る場合はここに追加する。 「To で指定した相手にメッセージを送るので、必要なら対応して下さい」 の意味

Cc: (Carboncopy)

メールの内容を通知したい関係者。ただし、メール送信相手に メールアドレスが知られても差し支えないときに使う。 「メール内容を共有します。念のため確認してください」の意味

Bcc: (Blind carboncopy)

メールの内容を通知したい関係者。ただし、メール送信相手に メールアドレスが知られたくないときに使う。 「内密にメール内容を共有します。念のため確認してください」の意味

具体的な例として A 君が、B, C, D 君に以下の指定でメールを送るとする。

To: B @ chubu.ac.jp
Cc: C @ chubu.ac.jp
Bcc: D @ chubu.ac.jp
  • B 君は、自分が主な受信者で、C 君にも届いていることがわかる。D 君に届いていることは知らない。

  • C 君は、B 君が主な受信者で、自分にも届いていることがわかる。D 君に届いていることは知らない。

  • D 君は、B 君が主な受信者で、C 君にも届いていることがわかる。 そして「B 君, C 君は D 君にもメールが届いていることを知らない」ことを知っている。

D 君は A 君に返信するのは問題ないが、B 君, C 君に届くようにしてしまうと D 君にも メールが送られたことがバレてしまう。秘密にしておきたい場合は注意が必要である。

Bcc: を使うもう一つの場面は、受信者同士にお互いのメールアドレスを知らせたくない時である。 例えば、学生に一斉に連絡事項をメールで送るときに、To: や Cc: にプライベートなスマホの アドレスを並べてしまうと、他の人にアドレスを知られたくない人のアドレスが公開されてしまう。 そのような時は全員を Bcc: に書くことで公開を避けることができる。

2.11. メール作成の実習 (4)

ここまでの内容の復習を兼ねて、最後のメールを作成しよう。

メールに書く内容は以下とする。

  • 恵那研修でスマホの忘れものをしたため、手元に取り戻したい。

  • 送る相手は、恵那研修センターの管理人。

  • どういう方法で落し物を手に入れるかは自由に考える。

  • 件名、本文、署名まで考える。

syn2089 @ gs4e.chubu.ac.jp 宛てに送付する。

2.12. まとめ

この章の目標

  • 電子メールの基本的な扱い方が理解できる。

  • わかりやすいメールを書くことができる。

練習問題

  1. メール作成の実習 (1) に取り組む。

  2. メール作成の実習 (2) に取り組む。

  3. メール作成の実習 (3) に取り組む。

  4. メール作成の実習 (4) に取り組む。